中学校の教員にとって必須のスキルである指導案作成。
特に初任者の先生方にとって、指導案の書き方は大きな課題となっています。
本記事では、実際の教育現場で活用できる具体的な指導案の作成方法をご紹介します。
ベテラン教員の経験と、文部科学省が定める学習指導要領に基づいた実践的な内容となっています。
初めて指導案を作成する方から、さらなるスキルアップを目指す方まで、確実に役立つ情報をお届けします。
〈プロフィール〉
・小学校教員、保育士、家庭教師、塾、学童など様々な学校現場を経験。
・現在はその経験を活かして教育記事を執筆中。
・ブログで月収70万以上を１年以上キープ。
現在は手堅く収入を得つつ、非常勤講師として子どもと関わっている。
指導案の基本構成と重要ポイント
指導案に必要な要素と基本フォーマット
指導案には、単元名、本時の目標、指導過程など、必ず含めるべき要素があります。
特に重要なのは、学習指導要領に示された目標との整合性を確保することです。
基本的な構成要素として、以下の項目が不可欠です：
単元（題材）名、対象学年、実施時期、単元の目標、本時の目標、準備物、評価規準。
これらの要素を適切に配置することで、授業の全体像が明確になります。
目標設定のポイントと評価規準の作り方
目標設定では、具体的で測定可能な表現を使用することが重要です。
「理解する」「習得する」といった抽象的な表現ではなく、具体的な行動として示すことが推奨されています。
評価規準は、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点で設定します。
各観点における生徒の具体的な姿を想定しながら、評価規準を作成することが大切です。
特に、本時の目標と評価規準の整合性を確保することが、効果的な指導案作成のカギとなります。
指導過程の組み立て方と時間配分
指導過程は、導入・展開・まとめの3段階で構成するのが基本です。
各段階での活動内容と、それに応じた適切な時間配分を明確にすることが重要です。
導入では生徒の興味・関心を引き出し、展開では主体的な学びを促進し、まとめでは学習内容の定着を図ります。
時間配分は、50分授業の場合、導入5-7分、展開35-40分、まとめ5-8分を目安とします。
各活動のねらいと、それに必要な時間を明確に示すことで、円滑な授業進行が可能になります。
効果的な指導案作成のテクニック
ICTの活用と板書計画の立て方
現代の教育現場では、ICTの効果的な活用が求められています。
タブレットやデジタル教材の使用タイミングと目的を明確に示すことが重要です。
板書計画は、授業の流れを視覚的に示す重要なツールです。
黒板の使用領域を適切に区分け し、キーワードや図表の配置を事前に計画することが効果的です。
ICTと板書を効果的に組み合わせることで、より分かりやすい授業展開が可能になります。
生徒の活動を促す発問と指示の工夫
効果的な発問は、生徒の思考を深め、主体的な学びを促進します。
発問は、事実発問から思考発問へと段階的に深めていくことが重要です。
指示は具体的かつ明確に記述し、生徒が迷うことなく活動できるようにします。
個人作業やグループ活動の切り替えのタイミングも、明確に示すことが大切です。
特に、思考を深める場面では、適切な待ち時間の設定も指導案に含めることが効果的です。
個別支援と学習形態の設定
生徒の多様な学習状況に応じた支援計画を含めることが重要です。
特別な支援を要する生徒への配慮事項も、具体的に記載することが求められます。
学習形態は、授業のねらいに応じて個人、ペア、グループを適切に選択します。
それぞれの学習形態における具体的な支援方法や声かけの例を記載することで、より実践的な指導案となります。
机間指導のポイントや、つまずきが予想される場面での支援方法も明確にしておきましょう。
実践的な指導案作成のステップ
単元全体の見通しと本時の位置づけ
単元全体の目標達成に向けて、本時の授業がどのような役割を果たすのかを明確にします。
前時までの学習内容と、次時への接続を意識した展開を計画することが重要です。
単元の導入から終末までの流れを俯瞰的に捉え、本時の位置づけを明確にします。
特に、既習事項との関連性や、新しい学習内容との結びつきを意識した展開を考えます。
生徒の学習の系統性を重視し、段階的な理解の深まりを促す展開を工夫します。
教材研究と指導上の留意点
教科書の内容を深く理解し、補助教材の選定や作成を行うことが重要です。
生徒の実態に合わせた教材の加工や、つまずきやすいポイントの予測が必要です。
教材のねらいを明確にし、それを達成するための具体的な手立てを考えます。
特に、生徒の興味・関心を引き出す導入教材の工夫は、授業の成否を左右します。
発展的な学習につながる教材の選定や、生活との関連を意識した題材の設定も重要です。
評価計画と振り返りの設定
授業中の具体的な評価場面と評価方法を明確に示すことが重要です。
形成的評価と総括的評価を適切に組み合わせ、生徒の学習状況を的確に把握します。
評価規準に基づいた具体的な生徒の姿を想定し、それを見取るための手立てを計画します。
特に、パフォーマンス評価やポートフォリオ評価など、多様な評価方法の活用を検討します。
生徒の自己評価や相互評価の機会を設定し、主体的な学びを促進します。
まとめ
効果的な指導案作成には、綿密な計画と実践的な視点が不可欠です。
学習指導要領の目標を踏まえつつ、生徒の実態に合わせた具体的な指導計画を立てることが重要です。
ICTの活用や個別支援の視点を取り入れ、より実践的な指導案を目指しましょう。
特に、評価計画と振り返りの設定は、授業改善の重要な要素となります。
本記事で紹介した要点を参考に、充実した指導案作成に取り組んでください。
