教育現場での授業づくりにおいて、指導案や略案の作成は避けて通れない重要な業務です。
初任者の先生方にとって、指導案や略案の作成は大きな課題となることが多いのが現状です。
本記事では、指導案と略案の基本的な違いから、効率的な作成方法まで、実践的なノウハウを詳しく解説していきます。
ベテラン教師の経験に基づく具体的なアドバイスと、文部科学省が示す学習指導要領に準拠した内容をお届けします。
これから指導案作成に取り組む先生方の道しるべとなれば幸いです。
〈プロフィール〉
・小学校教員、保育士、家庭教師、塾、学童など様々な学校現場を経験。
・現在はその経験を活かして教育記事を執筆中。
・ブログで月収70万以上を1年以上キープ。
現在は手堅く収入を得つつ、非常勤講師として子どもと関わっている。

指導案と略案の基本的な違いを理解しよう
指導案と略案の定義と役割

指導案は、授業の全体像を詳細に記載した計画書です。
学習指導案には、単元目標、本時の目標、指導過程、評価基準など、授業に関する具体的な情報が含まれます。
一方、略案は指導案を簡略化したもので、授業の要点のみを記載した計画書となります。
日々の授業準備において、略案は効率的な授業計画のツールとして重宝されています。
両者の使い分けを理解することで、より効果的な授業準備が可能になります。
作成が求められる場面の違い

指導案は、研究授業や公開授業などの特別な機会に作成が求められることが一般的です。
教育実習生や初任者研修では、詳細な指導案の作成が必須となっています。
略案は日常的な授業準備において活用され、教師の授業運営をサポートする役割を果たします。
経験豊富な教師であっても、新しい単元や実験・実習を含む授業では略案を作成することが推奨されています。
状況に応じた適切な使い分けが、効果的な授業準備につながります。
記載内容の詳細度の違い

指導案では、児童生徒の実態分析や教材観、指導観など、詳細な記述が必要です。
本時の展開については、時間配分や予想される児童生徒の反応まで細かく記載します。
略案は、授業の流れと重要なポイントを簡潔にまとめることが特徴です。
通常、A4用紙1枚程度に収まる量を目安として作成されます。
必要な情報を取捨選択する判断力が求められます。
効果的な指導案・略案の作成のポイント

学習指導要領との整合性確保

指導案・略案の作成には、学習指導要領の内容を十分に理解することが不可欠です。
各教科の目標や内容を確認し、育成を目指す資質・能力を明確にします。
単元の位置づけや系統性を考慮し、前後の学習内容とのつながりを意識します。
特に、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた工夫を盛り込むことが重要です。
学習評価の観点も、学習指導要領に基づいて設定します。
児童生徒の実態把握と反映

効果的な指導案・略案を作成するには、クラスの実態把握が欠かせません。
学習の習熟度や興味・関心の度合いを考慮した指導計画を立てることが重要です。
特別な支援を必要とする児童生徒への配慮事項も明記します。
また、学級の雰囲気や人間関係なども考慮に入れた指導方法を検討します。
これらの要素を総合的に判断し、最適な学習活動を設計します。
ICTの活用と教材研究

現代の教育現場では、ICT機器の効果的な活用が求められています。
デジタル教材やタブレット端末の活用場面を具体的に指導案に記載します。
教材研究では、児童生徒の興味を引き出す工夫や、理解を深める手立てを検討します。
特に、視覚的な教材や体験的な学習活動を取り入れることで、学習効果を高めることができます。
教材選択の理由や活用方法も明確に記述します。
実践的な指導案・略案の作成手順

単元目標の設定から評価まで

まず、単元全体を通して育成したい資質・能力を明確にします。
知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等の三つの柱に沿って目標を設定します。
各時間の目標は、単元目標を踏まえつつ、具体的な到達点を示すように記述します。
評価規準は、「おおむね満足できる」状況を具体的に示すことが重要です。
形成的評価と総括的評価の両面から評価計画を立てます。
本時の展開における時間配分

導入・展開・まとめの各段階に適切な時間配分を設定します。
児童生徒の活動時間を十分に確保することが、主体的な学びには不可欠です。
予想される児童生徒の反応に基づいて、柔軟な時間調整も考慮に入れます。
特に、グループ活動や実験・実習では、余裕を持った時間設定が必要です。
机間指導や個別支援の時間も計画的に組み込みます。
板書計画と発問計画

効果的な板書は、学習内容の構造化と理解の深化に重要な役割を果たします。
キーワードや図表の配置を事前に計画し、視覚的な効果を高めることが大切です。
発問は、思考を促す問いかけを中心に、段階的に理解を深められるよう工夫します。
特に、「めあて」と「まとめ」の関連性を意識した板書構成を心がけます。
デジタル教材と黒板の使い分けも明確にします。
まとめ

指導案と略案は、効果的な授業を実現するための重要なツールです。
状況に応じて適切な形式を選択し、必要な情報を過不足なく盛り込むことが大切です。
学習指導要領の趣旨を踏まえつつ、児童生徒の実態に合わせた指導計画を立てることで、より質の高い授業が実現できます。
日々の実践を通じて、より効率的な作成方法を見出していくことが、教師としての成長につながります。
継続的な研鑽と工夫を重ねることで、よりよい授業づくりを目指しましょう。

